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税金マル得情報 vol.115「外国人が所有する不動産を借りる場合の注意点」 

「外国人が所有する不動産を借りる場合の注意点」

1.非居住者が所有する不動産を借りる場合

円安ということもあり、外国人や外国法人(以下、「非居住者」)が、日本の不動産を購入しているという話をよく耳にします。非居住者は海外に住んでいるので、別荘として使わない限りは他人に貸すはずです。

このとき、非居住者が所有している不動産を借りて、賃借料を支払うときには、下記の2つの条件を「同時」に満たしたとき「以外」は、20.42%の源泉徴収が必要となります。毎月20万円の賃借料であれば、40,840円を源泉徴収します。そして、支払った月の翌月10日までに、賃借人が税務署に納付しなければいけません。1日でも納付が遅れると、賃借人に対して納税額の10%の不納付加算税が課されてしまうのです。

①自己またはその親族の居住の用に供するため

②個人が支払う

2.知らなかったでは済まされない

非居住者というと、日本国籍以外を思い浮かべるかもしれませんが、海外で居住する日本人も含まれます。実際に争った事例を見てみましょう。

① 賃借人は平成17年に店舗の賃貸借契約を締結

② 当時、所有者は日本の航空会社に勤務していた

③ 平成23年に韓国の航空会社に転職したことで、出国して非居住者となった

④ 平成24年になり、所有者が非居住者となったことを不動産会社を通じて知らされた

非居住者となったことを知らなかった間に支払った賃借料の源泉徴収に対する不納付加算税を課されたことで、国税不服審判所で争いました。ただし、源泉徴収税額(本税)については争わずに納付し、不納付加算税につき、取消を求めました。結果として、賃借料を支払う度に所有者が非居住者に該当するかを確認することはできないとして、不納付加算税は取り消されて、納税者の主張が認められています。

それでも、所有者が非居住者となったことを知りえなかった場合でも、源泉徴収することは、当然の義務とされているのです。

3.非居住者から不動産を購入する場合も注意


非居住者との不動産の取引について、賃貸借契約だけではなく、売買契約を締結するときにも注意が必要です。非居住者から不動産を購入したら、売買金額の10.21%の源泉徴収をする必要があるからです。

このとき、売却益ではなく、売買金額に対して計算するため、かなり高額となります。例えば、3億円の不動産を非居住者から購入したら、非居住者の口座には源泉徴収の金額を差し引いた2億6,937万円を振り込みます。そして、源泉徴収した3,063万円は、翌月10日までに税務署に納めるのです。

もちろん、源泉徴収することを忘れた場合に、あとから売主である非居住者から源泉徴収税額に該当する金額を返還してもらうことを主張はできますが、現実的には難しいケースも多いようです。非居住者から源泉徴収税額に該当する金額を返還してもらえなかったとしても、不動産を購入した個人または法人は源泉徴収の金額を不納付加算税と一緒に納める義務があるのです。

売買のときの源泉徴収漏れについては、大手の不動産会社が何社も税務署と裁判で争っていますが、源泉徴収そのものを免除された事例はありません。

不動産を借りるとき、もしくは購入するときには、取引相手が非居住者であるかどうかを確認して、非居住者であれば、源泉徴収を忘れずに行ってください。

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